「大丈夫なの? 親御さんに迎えに来てもらう?」

「大丈夫です!」

 先生のその言葉に、私は慌てるようにベッドを降りた。

「新菜、大丈夫なの?」

「そうだよ、新菜ちゃん無理するとよくないよ」

「ありがと。でも本当に大したことないみたいだから……」

 ママが迎えに来るはずなんてない。連絡なんてされたら困る……そう思った。

 顔を上げると、一番離れた扉の横の柱に寄りかかるように立っていた蒼生くんと目が合った。蒼生くんは私を見つめ、そっと目を伏せた。

「……」

 そうだ……私はSSFを辞めたいって、みんなに連絡していたんだ……。

 思い出し、その気まずさに言葉を失う。

「安達、足引きずってるじゃないか、やっぱり誰かに迎えに来てもらった方が……」

「大丈夫だって」

 翔太の言葉に慌てるように言い返した。

「あ……」

 翔太の言葉と同じくらいに、蒼生くんが私の手をとった。

「蒼生くん……」

「俺に寄りかかって歩けばいいよ。新菜は俺が送ってくから」

「……」

 蒼生くん……。

「まぁ、蒼生が一緒なら安心だけどな」

「そうだね、蒼生、新菜のこと頼むね」

「ああ」

「詳しい話は後日だな」

 翔太の言葉にみんなが黙り込んだ。

「うん、ごめんね」

 私はそう言うことしか出来なかった。

 今だって、もうSSFを続けていくことは出来ないと思っている。昨日のことを思い出せば胸が締め付けられるように痛い。