「吉岡先生は教師としては最高な人だったんだろうな」
翔太のつぶやきに、蒼生くんは静かにうなづいた。
「吉岡先生は“虚言症”といっても二面性があったのかもしれない」
「二面性!? そんなことがあるのか?」
「いや、俺の勝手な考えだよ。生徒に手を出していたと言っても、教師としては最高で、しっかり仕事をしている人だったんだろうって」
「うん、そうだよね。アタシも始めは頭にきてたけど、みんなの反応見ると悪いことばかりじゃないのかなって思えていたし」
「うん、私もそう思うよ」
ひな子の言葉はみんなが思ってることだよね。私はそう言いながら、柚へ向かって手を伸ばした。
「新菜ちゃん……」
「きっと、柚の想いも伝わったんだと思う」
「……うん」
柚はゆっくり立ち上がると笑顔を見せた。
柚の笑顔にみんなも曇った顔が笑顔に変わった。