週が明けると、学校には吉岡先生の姿はなかった。
突然の退職という話で、学校中は大騒ぎになっていた。
女子生徒から人気があって、気さくな雰囲気の吉岡先生は誰からも好かれていた。その先生の突然の退職に生徒たちからは悲しみの声が上がっていた。
どんなに悪い事をして女性を傷つけていたとしても、先生としての評価は高かったんだと感じた。
「ニュース見たか?」
「ああ。大々的にやってたな」
屋上に集まった私たちは、みんなが柵に寄りかかるようにして遠く空を見つめていた。
柚は一人膝を抱えるようにうつむいていた。
吉岡先生が退職してすぐ、教員免許偽造のニュースが流れた。
タイミング的にそれが吉岡先生じゃないかという噂が学校中を駆け巡っていたけれど、吉岡先生のことをそれ以上騒ぐことも、悪く言う生徒もいなかった。