「……やっぱり月城だったか」

「声で分かってしまうとは思っていました」

「教師にこんな脅迫めいたことをして、どういうつもりだ」

「脅迫? 真実ですよ」

「……なんでこんなことをしているんだ? ああ、最近ウワサで聞く“願い屋”とかいうやつの真似事か?」

「“願い屋”ではなく“SSF”です。スペシャル スノーフレイク」

「スペシャル スノーフレイク?」

「アイツ……SSFを名乗りやがった……」

 学校の先生にバレてはいけないと話していたはずなのに、蒼生くん自らSSFと名前を言ったことに翔太はガクッと肩を落とした。
 
 ドアの向こうで話す蒼生くんと吉岡先生の声は小さく、やっと聞こえる声に私たちは耳を澄ませていた。

「スペシャル スノーフレイクは、1人1人違って当たり前、みんな個性的で特別な存在という意味です。でも、吉岡先生は個性的という話で済む問題じゃない」

「……」

「あなたは“虚言症”という病気だ」

「……」

「その口を手で触るクセも、僕と話している時、脚がこちらを向いていないことも、虚言症のクセの一つです」

「……だから、どうだっていうんだ。教師を辞めろというのか?」

「そもそも、あなたは教師じゃない。本当のことを話して、虚言症を治すことを考えた方がいい」

「僕が虚言症というなら、君はどうなんだ? 嘘をつき続けるつもりか」

 ――え?

 蒼生くんが嘘?