『吉岡さん、あなたは……いえ、あなたは“吉川”さんですよね? 教師をしていたお父さんと進路のことで揉め勘当され、叔父にあたる吉川さんに引き取られた。そこから父親を見返すべく夢中で教師の道を目指した』
「……」
無言のまま吉岡先生はピクリとも動かなくなった。
『実際は単位が足りず教員免許を取ることが出来なかったのに、父親に対する思いと、自分のプライドが許さず、周囲に取得できたと嘘をついた。本当の“吉岡”という名前を使って。そこから大きな嘘が始まっていった』
「……」
『嘘の上に嘘を重ね、いつの間にかあなたは嘘をつくことへの罪悪感がなくなっていった。それが女子生徒と関係を持ってしまう引き金になった』
「……」
『引っ込みがつかなくなったとはいえ、これは犯罪だ。しかも教師と偽って女性にまで手を出していたこと。そこまでの嘘をついて、あなたは今後どうするんですか?』