「アイツなんなわけ!? 自分がしたことを棚に上げてあの言い方」

「蒼生、もうハッキリ言った方がいいんじゃないのか?」

 誤魔化し続ける吉岡先生にイラつきを隠せない翔太とひな子が小声で言った。振り向いた蒼生くんの視線は、ずっとうつむいたままの柚へ向いていた。

 蒼生くんは何を考えているんだろう?

 吉岡先生のことどうしようとしているのか。それはSSFメンバーにも伝えられていなかった。

 そして柚は……柚はどう思うのか……。

『あなたへ送ったメールがすべてです。教師のあなたは自分の犯した罪をどう考えているのか、それが聞きたい』

「自分の犯した罪!? 僕が何をしたっていうんだ。僕はふつうに恋をしただけだ」

 ガタン!

「アイツ何言ってんの!?」

 怒りを露わにするひな子を、翔太が止める。

「蒼生に任せよう」

「……」

 翔太の言葉に音楽準備室は再び静かになった。