「これを見てくれないか」 

 蒼生くんがみんなに手渡したのは1枚のプリントだった。

 そこには、ざっと目で追っただけでも10人以上の女の子の名前が書かれていた。

「蒼生、これは?」

「SNSに書き込まれた内容が真実かどうか調べたんだ。そうしたらこれだけの女性の名前が出てきた」

「どういうこと?」

「吉岡が関係をもった女性の数だ」

「え!?」

 みんなの顔色が変わった。そして手に持ったプリントに何度も目を向ける。

「女性といっても、すべて吉岡が勤務していた学校の生徒ばかりだ。この中にはうちの学校の生徒も何人かいる」

「……あの温厚そうな吉岡先生がこんな……。クラス委員長の集まりのときも、みんな親しくはなしていて、話しやすい先生だって、人気があるのもわかるなって思ってた……」

 翔太が動揺しているのがわかる。それくらい生徒たちからの信頼もあったはずなのに……。

「どうして、そんな吉岡先生が裏ではこんな酷いことを……」

「たぶん、悪気がないんだ」

「え!? どういうこと!? こんなことしといて悪気がないなんて!」

 ひな子が興奮したように立ち上がった。