「どうかしたのか? ああ、また安達と月城か」

「吉岡先生!」

 見ると、この間と同じように大きな段ボールを抱えた吉岡先生の姿があった。

「安達、手どうした? 怪我してるじゃないか!」

「あ、大丈夫です。何かで切ったみたいで……」

 私はとっさに手を隠した。

「月城か?」

「え?」

「月城にやられたのか?」

「え!?」

 吉岡先生……?

「なんで俺が。俺は新菜が心配で……アンタ……」

「蒼生くん? どうしたの?」

 突然言葉が止まった蒼生くんを見上げると、吉岡先生を見つめる蒼生くんの顔が険しくなっていた。

「『アンタ』? 先生だろ?」

 蒼生くんの険しい顔と同じように、吉岡先生のいつもの笑顔は無く、座った目と低い声が別人のように思えた。