その後も蒼生くんは何かを考えるように、教室でも、ずっと空を見つめたまま。
いつもなら、なんとなく分かる人の気持ちの変化や心の動き、それが蒼生くんは見えなくて。
何を感じ、思い、考えているのか、私にはわからなくなっていた。
こういう時にこそ、人の気持ちがわかるって能力は必要なのに、蒼生くんの気持ちははまったくつかめない。
「あれ……」
「新菜どうした?」
蒼生くんの“彼女のふり”というのは今も続いていて、帰る時は一緒に学校を出ることにしていた。嫌がらせめいた手紙はいつものように一時のことで。でも、並んで歩く私たちを見る女子たちの視線はいつも冷たい。
下駄箱を開けると、履いて来たローファーが無くなっていた。
おかしい……間違えて隣に入れるとかあるはずないし。両隣の下駄箱を開けみるが、見たこともないスニーカーと男子のローファーが入っていた。やっぱり間違って入れたなんてこと……。
「!」
私はそのまま急いで校舎裏に向かった。
「新菜!? どうした!?」
校内のゴミを溜める大きなゴミ箱、その中に私の靴が捨てられていた。
「……」
私は無意識にその靴を取り出そうと手を伸ばした。
「新菜、待て!」
「いたっ!!」