「そういえば安達、昨日は大丈夫だったのか? 電話口でなんだかヤバそうだったから」

「あ、翔太が蒼生くんに連絡してくれたおかげで何事もなくだったよ。ありがとう」

「そうか、よかった。でも、蒼生のこと……」

「うん……」

 ひな子も柚もなんのことか察したように小さく頷いた。

「昨日、蒼生くんと話したんだ。ご両親のことや、それが原因で悪さをしていたこと。警察沙汰になったこともあったってこと」

「そうか。じゃあ、やっぱり蒼生の過去のことは本当だったんだな」

「うん」

「でもね、そのことがあったから罪を償う気持ちで、このSSFを始めたんだって教えてくれた」

「罪を償う?」

 私を見て言った、ひな子の髪が強い風で大きく揺れた。

「うん」

 見上げると青い空に大きな雲。雲の動きが早くてずっと見ていると目が回りそう。

 人って過去のことにこだわり過ぎてしまう気がする。植え付けられてしまった潜在意識はすぐに変えることは難しい。

 でも、今のその人の心の中、その人の思いを大切に出来る、そんな人になりたい。