蒼生くんは私の言葉にそっと笑うと、その大きな写真に触れた。

「写真とフォトグラフの違いって知ってる?」

「写真とフォトグラフ? どっちも“写真”じゃないの?」

「翻訳するとそうなんだけど。写真は真実を写すもの、フォトグラフは、光のアートって言われるんだ。Photoはギリシャ語で『光』、graphは『絵』を意味する単語。だから光のアート」

「そうなんだ。真実を写すもの。光のアート……」

 私は飾られた写真を見上げた。

 何度見ても、この感覚は蘇る。すべてが無になるような、私自身がリセットされるような感覚。

「俺はこの写真を、真実を写すものとして撮ったんだ。スペシャル スノーフレイクのように、人それぞれ、みんな違って当たり前、その個性が特別なもの。嘘なんてつかなくていい、我慢なんてしなくていい、真実の自分を見せればいい」

「真実の自分を……」

 蒼生くん……。