少しの時間が経ってドアが開いた。

「どうぞ」

「あ……おじゃま……します」

 玄関を入って真っ直ぐ伸びた廊下の向こう。開かれたリビングの大きな窓から街のネオンが輝いて見えた。すごい景色にため息が漏れる。まるでダイヤモンドみたいだ。

 こんな場所からこの景色が見られるなんて、本当にすごい。

 窓の外の景色から目が離せなくなっていた。

「お母さんはまだ帰って来てないの?」

「母親? ここは俺1人だけど」

 振り向いて見た蒼生くんは、キッチンからこちらを見て、そう言った。

「1人!? 1人暮らしなの!?」

「ああ」

「……」

 こんなマンションに1人暮らしって……。

 なんで……。