お巡りさんの後ろに続くように大通りに出ると、蒼生くんが急に私へ振り向いた。

「新菜、何度も言わすな。こんな時間にここらへんをうろつくなよ。さっきお巡りも言ってただろ。ここらへんはあいつらのテリトリーなんだ」

「……テリトリー?」

「今日のことでわかったろ? 新菜はあいつらに顔がバレてるんだ。またこんなことが起こっても俺は助けにこないぞ」

「……」

「翔太にお礼言っとけよ。翔太が電話くれたんだ」

「……そうなんだ」

 私はうつむき、ヒビの入ってしまったスマホの画面を見つめた。

「……」

 なんだか頭の中がいっぱいで……。

 ママとあの男のことも……蒼生くんのことも。

 時間を見ると22時を回っていた。

 そうか、もうこんな時間なんだ。だからお巡りさんにもあんな厳しく言われるのも当たり前か。

「……」

 スマホを確認しても、ママから連絡は入っていなかった。なんで、ママのことなんて気にしているんだろう。もう、どうだっていいのに。

 私に嘘ついて男と会ってるママなんて、最低だって思ってるのに……。