「あ? おまえ月城蒼生だな」

 手に持つ懐中電灯を蒼生くんの顔に向けると、その眩しさに蒼生くんは顔をしかめた。

「また何かやらかそうとしてたのか?」

 お巡りさんに声をかけられた蒼生くんは参ったなって顔で苦笑した。さっきの翔太との電話で蒼生くんの過去のことを少し聞いていたから、お巡りさんの言葉に驚きはなかった。

「……お巡りさん勘弁してくださいよ。今は普通に高校生ですよ、俺」

「本当だろうな? さっきの奴らもここらへんじゃ問題をよく起こしてるんだ。また何かあったら、おまえ大変だぞ」

「本当です!」

「新菜!?」

「私がさっきの人たちに声をかけられているのを、蒼生くんが助けてくれたんです。私たち同じクラスだから」

「同じクラス? 高校の?」

「はい」

「そうか。それならいいけど……。こんな時間に1人だと、ここらへんは特に危ないから気を付けて」

「はい。ありがとうございます」