「その女から手を離せ」

「はあ!? そうしてほしきゃ土下座でもしな!」

 男はそう言いながら私の腕をさらに強く引っ張り上げた。

「……いたっ……」
 
 瞬きをした一瞬だった。

 掴まれた腕が突然強く引っ張られた。引き寄せた私を自分の影に隠すと、

「おまえ、殺されたいのか?」

 男に向かって蒼生くんが言った。

「!」

 男たちは驚いたように後退りすると「おまえたち! 何やってるんだ!?」遠くから聞こえた声。そこには2人のお巡りさんの姿があった。その声に男たちが走り出して行く。何度も何度も蒼生くんを睨みつけるように、何かを言いたげな男の様子に私はなぜか胸騒ぎがしていた。