『安達?』
「あ、ごめん」
『今度また詳しく話すから』
「うん、わかった……えっ!?」
『安達?』
電話をしながら歩いていた、その目の前に突然男たちが立ちふさがった。
「おまえ、この間の女だよな」
「……」
「この間、蒼生と一緒にいた女だろ?」
「あ……」
思い出した……。どこかで見た顔だと思っていたけど、あの時の男たちだ。
「おまえ蒼生の女なのか!? ちょっと来い」
「きゃあ!」
突然、腕を掴まれ、驚き大声を上げた。
『安達!? どうした!?』
手に持つスマホから、翔太の声が小さく聞こえた。
「いたい! 離してよ!」
目の前には何人もの男の姿。私を待ち伏せしていたような、そんな様子に足が震えた。
あの時のように街は昼間とは違う顔に変わり始めていた。人通りは無く、このままさらに路地裏にでも連れ込まれたら……。