「すごい結末だな」

「陸にも春見にも春がくるのかー?」

「蒼生くんも翔太も一緒になって笑ってないでよ。もうウソでしょ……」

 私は追いかけられている陸くんを見つめた。本当にこんな結末なんて……。だからなのか、陸くんも春見詩音も今までとは違うオーラというか、雰囲気がまったく違うと感じたのは。

「……」

 でも、あの春見詩音の笑顔、私たちはそれが見たかったんだ。

 あの後、春見詩音は音楽の道へ進むことを両親に許された。普通の大学へ進むことが条件だが、音楽事務所に入ることやコンテストなどを受けること、音楽へ進む道を両親もバックアップしていくということになったらしい。

 それはきっと、春見詩音のおばあちゃんも望んでいたことで、きっと喜んでいるに違いない。

「こういう結末は予想外だったけど、めでたし、めでたし、だな」

 蒼生くんはそう言うと笑った。

 めでたし、めでたし……か。

 うん、そうだね。

 春見詩音のあの笑顔は、初めて写真を見た時の色の無い瞳とは違う。

 未来を見つめる、瞳なんだ。

 それは正直、羨ましくも思えた。