「あ! やっと見つけた!」
「げッ」
私たちの方へかけられた大きな声に、みんなが振り向くと、それに一番反応したのは陸くんだった。
「やべっ! オレ行くわ。じゃあな」
「あっ!? ちょっと待ってよ! 陸くん!?」
急いで走って行く陸くんを追うように、私たちの横を風のように通り過ぎたのは、春見詩音だった。
それは、あの時までの春見詩音とは違う。見違えるような明るい笑顔をしていた。
それが、私たちSSFのメンバーにも自信を与えた。
「あれ、何? なんで陸くんが追いかけられてんの?」
「さぁな」
「恋、しちゃったのよ」
「ひな子! 柚!」
「なんだよ、恋って?」
陸くんたちの姿を見送るように現れたのは、ひな子と柚だった。私たちの驚きにクスクスと笑う。
「春見詩音、陸に恋しちゃったんだよ」
「え!?」
「そうそう、あのミッションで陸くんのピアノを聴いたでしょ。それで恋しちゃったらしいんだぁ」
「道理で春見詩音もなんとなく雰囲気が変わった気がしたよ」
うなずくように翔太が言った。