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その日は朝から冷たい雨が降っていた。
窓から見上げた空は、今にも落ちてきそうなほど重い鉛色をしていた。
もうすぐ帰りの時間になろうというのに、雨は止む様子さえみせない。
「はぁ」
雨の日は昔から憂鬱。
なんでこんな気持ちになってしまうのか自分でもわからないけど、なんだか悲しくて、胸が苦しくなるように感じた。
「こんな雨じゃ屋上にも行けないな」
「今日は集まりなしだな」
「蒼生くん、翔太」
教室前の廊下から窓の外を見ていた私に2人が声をかけてきた。その言葉に小さく「うん」とうなずき、雨が降ると屋上に行けないことも憂鬱になっている1つの原因なんだと気付いた。
春見詩音のミッションが終わって、2週間。
私たちの生活も落ち着きを取り戻していた。