「どんな曲がいいか選んでいる時、この曲のインタビュー記事を読んだんだ」
蒼生くんがゆっくりと話し出した。
「自分を愛し、自分に自信を持つことが大切だって書いてあった。その曲のタイトルのように『これが私!』って叫んでもらいたい。自分から言うんだ。こうやって歌っていることが私なんだって。誰かに決められる運命じゃない、自分で決めた未来なんだ! そう両親に伝えてほしいって」
「蒼生くん……」
スクリーンに映し出された春見詩音、そして見つめる両親の姿をしっかり目に焼き付けるように力強く言ったその言葉は、まるで自分に言い聞かせるような、そんな覚悟にも似た言葉だった。
真っ直ぐ春見詩音を見つめた蒼生くんの力強い横顔が、私の胸を締め付ける。
蒼生くんは、まるで自分とリンクさせるように相手のことを考える。その思いがこんなにも熱い……。
なんで蒼生くんは、こんなにも他人のことを考えられるのか、こんなにも真剣に思えるのか、この時の私にはまだ何も理解出来ていなかったんだ。