「安達、今月の遅刻、何度目だー?」
「……すみませーん」
クラスの生徒たちの視線が一気に集まり、みんなの蔑んだような目が痛いくらいに思えた。
その時、担任の後ろに立つ男の子と目が合った。
「……」
目にかかるほどの長いストレートの前髪。髪色は不自然なくらいに黒い。そして長い前髪から覗く大きな黒目がちな瞳が私をじっと見つめた。
その大きな瞳に一瞬ゾクッとするような感覚。
私と目が合うとその瞳は細まり、心なしか口角が上がり、まるで何かを企むようにニヤリと笑った。
「転校生を紹介するぞー。席つけー」
「……」
転校生……。
だから他のクラスの女子たちがあんなに騒いでたんだ。
「月城 蒼生くんだ」
4か月前の10月、それが蒼生くんとの出会いだった。