「……上手くいくかな」

「……大丈夫。絶対上手くいくよ」

 不安を見せた私に、蒼生くんは笑顔でそう言った。

 なんでだろう。蒼生くんの言葉は信じることができる。

 その笑顔は、心配ごとなんて吹き飛んでしまうような……そんな強さ。

「よし、はじめよう」

 みんなに繋がったインカムに、蒼生くんの合図が飛んだ。

 店内に陸くんの弾くピアノが流れ始め、プロジェクターにはピアノに合わせた映像が映し出されていた。

 店内には満席になったお客さんが運ばれてくる食事を楽しんでいる。春見詩音の両親以外は本当のお客さんだが、詳しいこと以外の事情を話していて協力してくれている。

 遠くから見た春見詩音の両親は無言のまま食事を進めていた。お互い目を合す様子は見られず、余程仲がこじれているんだということが感じ取れた。

 この2人に、春見詩音の夢を叶えることへの理解を得ることは簡単ではないと思った。

 自分たちがこんな様子なんだもん、子供のことと言っても話を聞いてくれるのかさえわからない。

 なんだろう……自分と照らし合わせるように、胸が痛んだ。