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――その日は大きな満月が輝く美しい夜だった。
会場は都内にあるイタリアンレストラン。
そのお店のオーナーシェフは雑誌やメディアでも紹介されるような若手の有名シェフで、予約をするのも困難と言われるお店だった。
席はテーブルが5つとカウンターが用意されていた。30人も入ってしまえば、いっぱいになってしまうくらいの店内は、ブラウンと白を基調とした落ち着きのあるお店だった。
温かみのあるオレンジのダウンライトが優しく、どの席からも見られるように店内の中央にプロジェクタースクリーンが置かれ、お店の雰囲気に合った映像が流れていた。それがカジュアルにも感じさせ、いろんな年代のお客さんが多く集まる人気のお店だという。
その映像に合わせるようにBGMが流れ、時には弾き語りもあるのか店の奥にはグランドピアノが置かれていた。夜遅くになるとさらにライトの灯りが落とされ、高級ラウンジのようになるという。