「……菜。新菜!」
「あ……蒼生くん」
「どうした? ぼっとして」
「あ、うん……」
私は誰よりも早く屋上に来ていた。今日はクラス委員の集まりがあるはずだけど、翔太とひな子に甘えて、1人先に屋上で考え事をしていた。
それは、あの下駄箱にあった手紙のこと。
“安達新菜を殺す”あの殺人予告のような手紙が今日もまた入っていたのだ。
いつもなら、こんな嫌がらせの手紙も1日だけですぐ終わって、また忘れた頃に下駄箱に入っている。きっと女子たちも「そういえば」みたいな感覚で軽い気持ちであの手紙を送ってきているのがわかっていた。
でも、この手紙だけは違った。毎日のように同じ文字の同じ内容が書かれていた。
気になってはいても、それ以上に次のターゲット『春見詩音』のことが私は気になっていて、その手紙もカバンに押し込んだまま記憶の隅に追いやられてしまっていた。