海に溶ける雪。

空はグレー。

無音。

胸が鳴る。


激しい電車の走行音と、行き交う人々の足音。

いつもの朝のけだるい気持ちが一変した駅のホーム。

耳障りに感じていた朝の世界が無音になった。


ホームの壁一面に貼られた大きなポスターを目にし、私の時は止まった。

騒がしい駅のホーム、せわしなく行き交う人々が何度もぶつかってくる衝撃も無視し、私は立ち尽くしていた。

電車から降り、突然目に飛び込んできたその写真には、大きな海と砂浜、空はグレー一色で、舞い降る雪が海に吸い込まれていくように見えた。

私の世界が無音になった。

この感覚はなんだろう……。

頭の中が“無”になる。


今まで感じたことのないこの感覚に、私はずっとその写真を見つめ、立ち尽くしていた。

ずっと……。

ずっと――――。