「ちょっと、押村さんひどいよお」と息を弾ませた声が走ってきて、皆一斉に振り向いた。日垣が五本のペットボトルを抱えている。
「なんでっ……あんな遠いとこまで行かせたのっ……?」
「いい運動になるだろうと思ってね」と、押村さんはいつもの調子で笑う。目元が少し赤いけれど、日垣は気づいていないらしい。触れないだけ、かもしれないけれど。
「もう……しかもなんで麦茶なのっ……。六百ミリだよ? 重いったらありゃしないよ」
はい、はい、と、日垣は買ってきた麦茶を皆に配る。最後に押村さんへ渡したけれど、その時、なにかを窺うような目をしたので、彼女の目元の跡には気づいたらしい。けれど、なにも言わなかった。
「お金は余ったでしょう?」と言う押村さんに、「十円が」と日垣は答える。「嘘だ⁉」と慌てる押村さんへ、日垣は「嘘じゃなくて冗談だよ」といたずらに笑った。
「なんでっ……あんな遠いとこまで行かせたのっ……?」
「いい運動になるだろうと思ってね」と、押村さんはいつもの調子で笑う。目元が少し赤いけれど、日垣は気づいていないらしい。触れないだけ、かもしれないけれど。
「もう……しかもなんで麦茶なのっ……。六百ミリだよ? 重いったらありゃしないよ」
はい、はい、と、日垣は買ってきた麦茶を皆に配る。最後に押村さんへ渡したけれど、その時、なにかを窺うような目をしたので、彼女の目元の跡には気づいたらしい。けれど、なにも言わなかった。
「お金は余ったでしょう?」と言う押村さんに、「十円が」と日垣は答える。「嘘だ⁉」と慌てる押村さんへ、日垣は「嘘じゃなくて冗談だよ」といたずらに笑った。