三人と合流すると、綸は押村さんを見た。その目には、少し困ったような、探るような色が窺える。

 「面白いことをしてるね」と綸は言った。

 「部活じゃないんでしょう。青園さんが言ってた」

 「うん……」

 ああ、違う。やはり、押村さんの知っている綸でもない。罪の意識から話しづらいというのではなく、押村さんは困っている。驚いてもいるように見える。

 「あたしたちも入っていいかな」

 「ええ、もちろん」

 「やったー」とヒガキが両手を上げる。「放課後にここにくればいいんですよね」

 「そうだよ」と押村さんが頷く。「ところで、ヒガキさんは二年生だよね?」

 「はいっ」

 「そんな畏まらなくていいよ」と軽い調子で笑い、「一年生がこれだもの」と青園を顎で示す。

 「だって押村先輩、先輩っぽくないじゃないですか」と青園。

 「なに? 指の怪我悪化させてやろうか」

 「痛いの好きじゃないんですけど」

 「だからやるのよ」

 ぽきぽきと指の関節を鳴らしながら迫る押村さんに、青園が後退る。身軽に立ち上がると、一気に走り出す。押村さんも後を追う。

 「触るんじゃないですよ」

 「大丈夫、ちょっといじるだけ」

 「ふざけんじゃねえっすよ」

 「友達口調で大丈夫みたいだね」とヒガキ。彼女は「そうだ」と手を叩くと、「私、ヒガキホノカ」と改めて言った。「高野山空」とおれも応える。

 「曜日の日に生垣の垣、稲穂の香り」

 おれも、押村さんに説明したように伝えた。