「はあー、すっきりすっきり」と言ってやってきた押村さんに、「思春期っていつだっけ」とおれは呟く。「なんだい高野」と押村さんは言う。「ジェーケーだってトイレくらい行くよ」と。「まさかジェーケーはトイレも行かずむだ毛も生えぬ生き物だと思ってるのか」と妙にまじめな様子で言うので、こちらも同じようにして、「いつのアイドルの話だ?」と返す。

 「ところで、今日はなにするんですか?」と言う青園へ、押村さんは「なにもしないよ」と答える。「今までもそうだったじゃん」と。

 「ここはのんびり部もどき。活動内容はのんびりすること。なにも考えないこと。雲の流れでも眺めてるのが、のんびり部もどきの在り方だよ」

 はあどっこいしょ、と、押村さんは青園の隣に腰を下ろす。

 「飲み物でも買おうか」と言って、たった今座ったばかりの押村さんは、よっこいしょういち、と腰を上げた。「とせちゃんはどうする?」と目の前で振り返る押村さんへ、青園は「無糖紅茶で」と答える。

「了解」と頷いて、押村さんは「高野は?」とおれを見た。「いやいいよ」と返すと、「お金なら倍にして返してもらうから大丈夫だよ」と返ってきたので、「なにが」と苦笑する。「だから遠慮すんな」と言う押村さんへ、「他にどうしろと」と返した時、「あ、やっぱり」と声がした。