放課後、おれは押村さんと一緒に中庭に出た。よく晴れていて、心地いい風が吹いていた。

 「さて高野。今日も部員もどきを探しておくれ」

 「いや、それ部長もどきの仕事じゃない?」

 「お主は副部長もどきであろう。副部長もどきは部長もどきの左腕」

 「右腕じゃなくて?」

 「私は右利きだぞ?」

 「思いっきり右手でお弁当食べてたね」

 「さあ高野。誰か面白そうな人はいるかえ?」

 おれは中庭を見渡した。ふと、昨日の少女が、おれたちの座っていたベンチにいるのに気が付いた。「部長もどき」とおれは押村さんを呼ぶ。「なんだい、副部長もどき」と押村さんが応える。

 「あそこに」と少女を指させば、押村さんは「おやおや」と眉を持ち上げた。「これはこれは……!」

 素晴らしい、と叫んで、押村さんは少女の元へ駆け寄った。