授業中は、ほとんどぼうっと窓の外を見ていた。空が、とても綺麗だった。彼は今、どこでなにをしているんだろう。どこかの学校で、同じように授業を聞いているのかな。

 「夜久さん」と声がして、振り返ると、日垣さんと知らない女の子が一人いた。

 「穂香、夜久さんと仲良かったんだ」とその女の子が言う。

 「昨日の放課後、探しものに付き合ってくれたの」と日垣さん。

 「うち、ホシ。覚えてる?」と言う女の子に、わたしは「もちろん」と答える。この人とは、なにかがあったらしい。

 変なことじゃなければいいけど……と思っていると、「あの時はありがとうね」と言われて、そうではないとわかる。「プリント。まとめるの手伝ってもらっちゃってさ」とホシさんは言う。「大丈夫だよ。難しいことじゃなかったし」と答えるけれど、本当のところ、なにもわかっていない。

 「お昼、うちも一緒に食べていい?」と言われて日垣さんを見ると、「三人で」と、日垣さんは巾着袋を持ち上げた。わたしは「もちろん」と頷く。