食事を済ませて、食器と調理器具を洗って洗面と着替えを済ませてとやっているうちに、家を出る時間まで五分となった。先日、作ろうと思って材料を揃えた栞の製作に取り掛かると、時間はあっという間に経った。むしろ携帯電話に表示された時間は、家を出る時間より一分遅く、それを確認した直後、また一分進んだ。まあこれくらいならと思って、縫い終わりの玉結びを済ませ、糸を切った。

 肩紐を引っ掴んだ鞄の内ポケットに携帯電話と完成した栞を入れ、部屋を出る。

 内ポケットに常に入っている鍵で玄関を施錠し、一度扉を引いて確認する。

 小型バス一台分――せいぜい一台と半分――程度の広さしかない長方形の庭は、野菜たちが育つ場所となっている。今はキャベツが植えてある。他、日当たりのいい場所に置いてあるプランターではアスパラガスが、半日陰の場所に置いてあるプランターではクレソンが成長している。家庭菜園は父の趣味だ。母は観葉植物さえ枯らしたことのあるほどいい加減な人なので、こういうことは向いていない。

おれはそれぞれの土の様子を確認し、アスパラガスのプランターに水をやった。縁に沿って肥料が蒔いてあるので、そのまま庭を出た。飾りのような白い門を閉め、通学路を行く。