「ねえ、空」と綸は言った。「こんなあたしでも、一緒に旅していいのか?」
「キッチンカー?」
綸はこくりと頷く。おれはじんわりと、自分の表情が和らぐのを感じた。
「むしろ、なんでだめなんだよ」
「また……」と綸は俯く。「壊すかもしれないから」と。
おれは小さく笑った。「その前に深呼吸すればいい」
綸はぶっと噴き出す。「あーあ、本っ当にお人好しだ」と静のように笑う。本当に、静は綸の一部だったんだと確認する。
「よし、片付けようか」と言う様は、おれには静にしか見えない。綸と静は、とても近いところにいたのだろう。
「……静、言ってたね。自分は綸の掃除係だって」
言ってみると、「実際、そんなようなもんだったんだよ」と、静が笑った。綸でありながら、限りなく、どこまでも静だった。
「ねえ、高野山君」と彼は言った。距離を縮め、おれのすぐ前で足を止める。おれを少し見上げるようにして、「ありがとう」と言った。
「名前をくれて、誕生日をくれて、将来を描かせてくれて、一緒にいてくれて。……他にも、もっと色々。――でもなにより、おれを生かしてくれて」
「……おれだって、静がいなくなったら悲しいから」
目を濡らしてくしゃりと笑うのを正面から抱きしめると、静もまた、おれの背に腕を回した。
「本当、ありがとう」と言う彼へ、「こちらこそ」と返す。
大切な親友。生きていてくれて、ありがとう。
「キッチンカー?」
綸はこくりと頷く。おれはじんわりと、自分の表情が和らぐのを感じた。
「むしろ、なんでだめなんだよ」
「また……」と綸は俯く。「壊すかもしれないから」と。
おれは小さく笑った。「その前に深呼吸すればいい」
綸はぶっと噴き出す。「あーあ、本っ当にお人好しだ」と静のように笑う。本当に、静は綸の一部だったんだと確認する。
「よし、片付けようか」と言う様は、おれには静にしか見えない。綸と静は、とても近いところにいたのだろう。
「……静、言ってたね。自分は綸の掃除係だって」
言ってみると、「実際、そんなようなもんだったんだよ」と、静が笑った。綸でありながら、限りなく、どこまでも静だった。
「ねえ、高野山君」と彼は言った。距離を縮め、おれのすぐ前で足を止める。おれを少し見上げるようにして、「ありがとう」と言った。
「名前をくれて、誕生日をくれて、将来を描かせてくれて、一緒にいてくれて。……他にも、もっと色々。――でもなにより、おれを生かしてくれて」
「……おれだって、静がいなくなったら悲しいから」
目を濡らしてくしゃりと笑うのを正面から抱きしめると、静もまた、おれの背に腕を回した。
「本当、ありがとう」と言う彼へ、「こちらこそ」と返す。
大切な親友。生きていてくれて、ありがとう。