夜に会うこと。それは、元はといえば私の生活スタイルに綺が合わせてくれたルールだった。


私に会いにきたという綺と過ごす夜を、いつからか当たり前に思うようになった。だけど本当は綺はずっと親の目を盗んできてくれていた。夜に出歩くことは、綺にとっての普通ではない。


叶うなら健全な時間───太陽が照らす時間に。



「綺って、今は部活してるんだっけ」

《今?してない。学校終わったらテキトーにぶらついて帰って寝てる》

「明日、の……学校終わり、とか」

《え?》




「ヒマだったら、で、いいから。……いつもの公園、きてよ」




変わらない日々が続いている。毎日読書をして、感想文を書いて、夜になったら家を出て、空を見上げる。同じサイクルで、長い一日を終える。


つまらない人生に差し込んだのは、綺麗でうつくしい、光だった。