《もう蘭に会えないかもって思ったらすっげー嫌でさぁ、ダメ元で学校帰りに公園いったりしたんだぜ。まあ、蘭には会えなかったけど。でも代わりに、コンビニ店員さんが蘭に会ってくれてたから。まーじで奇跡、おめでと俺ら。流石、こりゃ運命だわ》
電話越しに綺がけらけらと笑っている。変わらない、少し気の抜けた笑いに、どこかほっとした。
《蘭の連絡先、どうにかして知りたいと思ってたから。蘭が動いてくれて、俺さぁ、ずっげー嬉しかったよ》
「……うん」
《照れてんの、蘭》
「……、」
《んんん、なんか言ってくんないとさ、無言は肯定だよ。やべー、俺まで恥ずかしくなってきた》
「…綺」
《うん、なに?》
綺に、1週間以上言えずにいたことがある。
「……誕生日、おめでとう」