綺から私のスマホに連絡が来たということはつまり、真夜中さんはコーラ缶を買った菩薩っぽい顔の人とコンビニで無事遭遇できたということになる。
顔も知らない相手に対して伝言を頼まれた真夜中さんも、そんな真夜中さんから突然私の連絡先を受け取った綺も、もしかしなくてもちょっと変だ。
人と人とのつながりはとても単純で、だからこそ、頼りになる時もある。
《なあ蘭。俺、謝んなきゃいけないことがある》
「うん」
《親にバレちゃった。深夜に外出るの、もうだめだって》
真夜中さんの言っていた通りだった。
笑って送り出してくれる私の母が普通とは言い難いことはわかっていたものの、いざ他の家庭の普通を目の当たりにすると、母に申し訳ない気持ちも募る。私がちゃんと高校生をやれていたら、また違ったかもしれない。
どうにもならない後悔は、こうして時々顔を出す。