それから2日後の、夕方のことだった。


その日の読書感想文を書き終え、ふう…と一息ついてミルクティーに口をつけた、ちょうどそのタイミングでスマホが鳴った。

公式ラインからメッセージが来た時のような短い通知音ではない。ブーッ、ブーッ、と振動が続き、画面には知らない番号が記されていた。



どくんどくんと心臓が騒ぎ出す。

普段、私に電話をかけてくる人はお母さんくらいだ。連絡を取り合う友達はおらず、ブロックし忘れた公式ラインや解除するのが面倒で放置している購読メール以外でメッセージが届くこともない。



そんな私に、連絡をくれる人。
思い当たるのは、ただひとりだけだった。



震える指先で応答ボタンを押す。耳にスマホを当ててすぐ、



《あ、あー…マイクのテスト中ー…》



と、1週間以上聞いていなかった彼のやさしい声色が通り抜けた。