本当は綺の誕生日に、色々聞こうと思っていたのだ。
どこの学校に通っているとか、子供の頃の話とか、昼間の様子とか。私は夜、公園で会う時の綺の雰囲気しか知らないけれど、太陽が出ている時間はもしかしたら少しキャラが違うのかもしれないから。
誕生日を境に、綺の中に少しだけ踏み込んでみようかなと、ひそかに心に決めていた。
「あー、だめっすねミヨーさん。明日やろうはバカ野郎っす」
「……後悔してます。当たり前に、また会えると思ってたから」
「まあでも、後悔ってのは、後になって悔やむからそう呼ばれるわけで。後悔しないようにってのは実質無理な話だと俺は思ってます」
真夜中さんの言葉は、適当にも屁理屈にも聞こえない。彼が本当に、久々そう感じて生きているからこそ、私の中にすとんと落ちていくのだと思う。不思議な感覚だけど、嫌いではなかった。