「もう今年も終わりそうだぜ蘭、どうする」
唐突に話題を振られるのにはもう慣れた。
「どうするも何も」
「クリスマスも正月も、センター組は勉強漬けなんかなぁ。えらいわ、世の受験生」
「わかる」
あと1週間もせずに冬休みが始まる。綺や杏未にとっては最後の冬休みだ。
杏未と同様、綺も地元の私立大学に推薦入試で合格していたので、残すは卒業のみらしい。センター試験も模擬試験も経験しない身では、同級生の人と迂闊にイベントごとの話ができないと綺が嘆いている。
……そういえば、杏未も同じことを言っていたっけ。
同い年とは言え私の高校3年生はあってないようなものなので、高校受験の時の感覚を思い出す。
確かに、私立と公立では受験期も違うから、公立組が卒業ぎりぎりまでぴりついていたような気もする。