「なんでもいんじゃないすか」

「え」

「関係性を表す言葉って、時に厄介ですよ。ほら、わかりやすいたとえだと、「うちら親友だよね」とか、「友達だと思ってたのに」とか。彼氏とか彼女とか、そういうのも同じようなもんすよ。別れるとか別れないとか、言葉ひとつで簡単に成り立つの、時々ばからしいなって思ったりもします、おれ」



そう言われ、確かに、とすぐに納得した。



「うちら友達やめるから」マイにそう言われたのは、もうすっかり懐かしい記憶ではあるけれど、言葉一つで私たちは他人に慣れてしまったのだ。

言葉の持つ力はとても偉大だけど、時にとても無力だと思う。人が必ずしも分かり合えないのは、そのことも関係している気がした。