名生 蘭。あんたは、私は、絶対大丈夫。味方がたくさんいる。立ち止まる勇気を持っている。誰かにとっての救いにもなっている。だから大丈夫。夜を越えて、朝が来ても、名生蘭は大丈夫だからね。
呪文のように「大丈夫」と唱えて無理やり自分を認めてようとしていた頃より、ずっとずっと自分の「大丈夫」に自信が持てるようになった。
休んでいる間の学習について訊かれた時のためにと、引きこもっていた頃に毎日書いていた読書感想文を数枚持ってきていたので、現代文の先生だし、と気まぐれで提出すると、「あなたはとても素敵な人です」と言って、先生は微笑んだ。
それだけで、掬われたような気がした。
学校には、春休み明け──新年度から通うことにした。その方が区切りも良いし、交流関係も築きやすいのではないかと提案されたのだ。
かわりと言ってはなんだが、今年度のうちはざっと高校生の勉強を振り返ることができる参考書を買って勉強することを勧められた。
異論はなかったので、三者面談はその言葉に頷いたところで終了した。



