「やえちゃんは、幸せじゃないの?」
「……わかんないの。でも、生きるのはずっとつまらない」
「そうなの?」
「だれもわたしのことなんか見てないし興味ないって思うのに、みんなどうせわたしのこと嫌いで、死ねばいいって思ってるんだろうなっても思うの」
「そうかなぁ。死ねとか思わないけどな、フツウ」
「綺くんは、やさしいね」
綺は優しかった。最初からずっと、こんなわたしにも優しくしてくれた。4つも年下の小学生なのに、綺の方がよっぽど大人だ。気を使えるし、人の変化に気づける。
綺は、何処にいても馴染めなかったわたしにとっての、唯一の居場所だった。
どんなに心が不安定で、学校に行くのが怖くて、もうこのまま消えてしまいたいと思っても、綺といる時間だけは楽しくて安心できた。