初秋の夜は、風がとても心地よかった。
24時間営業のコンビニは、今日も夜に似つかない光を保ってそこに存在している。20時に来る時よりも静けさがある。
自動ドアを抜けると、私に気づいた深夜バイター、通称真夜中さんが「あ」と声を上げた。
「こんばんは」
「こんばんは。今日はひとりなんすね」
真夜中さんとふたりきりで話すのはいつぶりか。
私と綺はいつしかハッピーセットみたいになっていて、一緒にいないと違和感すら覚えるようになったと、以前真夜中さんに言われたことがあった。
出会ってから2か月やそこらではあるものの、大切にしていきたい人や時間が増えたことを実感して嬉しくなったのだ。