「補導されますよ、この時間にその恰好は」

「……着替えるの勿体ないなって。私は、毎日着るわけじゃないから」

「夢の国行った日にずっと帽子被ってたいあれと同じ現象ですか」

「まあ、感覚的にはそうかもです」

「わかりやすくていいっすね」

「たとえ話をしたのは真夜中さんですけどね」




その日の夜───時刻は22時手前のこと。


日中、綺は休憩時間をまるまる私にくれて、勝手のわからない高校の文化祭でも存分に楽しむことができた。文化祭を楽しんだ後、杏未と私は駅前でプリクラを取り、カフェに寄った。


あれが楽しかったとかこれが面白かったとか、あっという間に思い出になってしまった出来事を、日が暮れるまで記憶をたどり、笑い合った。


楽しい時間ほど、時間が過ぎるのはあっという間だ。

綺と出会ってから夜が短くなったように、杏未と仲直りしてから日中の空白が短くなったり。今日だって、気づいたら一般公開の時間終了間際だったのだ。