突然漫画やアニメで見るような極端なオタク口調になった綺と、そんな綺を本気で心配しだす杏未に囲まれるこの状況は、もしかしなくてもかなりカオスである。それでいて私は赤面したままなので、いよいよ収集がつかなくなっている。

すうっと大きく息を吸い、心を落ち着けるようにふーと息を吐いた。


「ほら、時間は有限だから。早く行くよ」

「そっそうだぞオタクくん!」

「おほっ」

「日之出くんその笑い方はちょいキモかもです」

「思った。あぶねえ、自我を失いかけてた」



失いかけてるというか、もう8割どっかにいってたけどね。心の中でそう突っ込みを入れつつ、文化祭に意識を戻す。


時間は有限。日々の無駄遣いをしてばかりだった私の口からそんな言葉が出るとは思わなくて、自分に少し驚いた。