「やっぱ文化祭楽しいよねぇ。他校のとか尚更」

「うん」

「蘭ちゃんとこれて良かったぁ!」



お化け屋敷に向かう途中にあった模擬店のチョコレート味のチュリトスを頬張りながら、杏未が幸せそうな笑みを浮かべる。その表情につられ、私まで嬉しくなった。


制服を着て、学校に行っていた頃と同じナチュラルな化粧をして、杏未と一緒に文化祭をまわっている。


1年生の時、マイとシホは確かその当時彼氏がいたから、私と杏未はふたりで回ることになったんだっけ。

マイたちと知り合ってからは必然と4人で過ごす時間がベースになっていたから、杏未とふたりになったのがとても久々で、内心ちょっと嬉しかったのを覚えている。



「杏未」

「うんー?」

「学校行けなくて、ごめんね」



懐かしい記憶をたどりながら、小さく呟く。

杏未が仲良くしている人と、楽しく高校生活を送れていたらそれで良い。忙しい合間をぬって私に手紙を届り続けてくれただけでこんなにも救われたし、杏未と向き合うことを決めてよかったとも思う。


だからこそ、こんな気持ちになるのだろうか。