「綺は私に、苦しい時とか悲しい時はそう言って欲しいって言ったけど……、私も綺に同じこと言う。無理なことは無理なままでいいと思う。杏未が手紙を出してくれなかったら私は今も立ち止まったままだった」
「…そんなことねーよ」
「綺が可能な限り平和な世界の中にいてほしいんだよ」
これを恋とは、私はまだ呼ばないけれど。それでも、綺が私にとって大切な人であることに変わりはないから。
何の事情もわからないけれど、それでも綺には、これからを平和に生きていてほしいのだ。
「……ありがと、蘭」
「うん、いいよ」
「やっぱ、好きだ」
自分の気持ちを確かめるみたいに、綺の独り言のような告白がぽつりと落ちる。
星が、とても印象的な夜だった。