その2か月後、また同じような理由で公園の前を通った時、蘭を見つけた。
時刻は22時半過ぎで、夜に一人で公園にいるなんて怖くないのかな、と純粋な疑問を抱いた。
高校の同級生たちと去年の夏に肝試しをしたことがあったけれど、俺の知っている女子は皆お化けが怖いとか暗いのは無理とか、そう言っているのが普通だったから、平気な顔して夜の公園にいる蘭が不思議に思えた。
あの子は何故、夜の公園にひとりでいるのか。
2回、同じ時間帯に見かけた。もしかしたら毎日いるのではないか。夜が好きなのかもしれない。俺が、空や星を見て漠然と心が掬われるのと同じで、彼女にとっての夜の公園がどこか特別な存在なのではないか。
話がしたい。
俺を知らない彼女と、俺ときみの話を、してみたかった。