中学1年生。思春期かつ反抗期真っ只中だったこともあってか、やえと会う時間がだんたん億劫になっていった。


それでもやえは、何も知らない顔をして、「綺に会いたくて来た」といって家に来るし、「明日は何時頃来る?」と電話をしてくる。




俺が差し伸べた手のひらを握り続けるやえは何も悪くなかった。

ただ俺が、無知なまま彼女の心に触れてしまったのがいけなかった。生半可な気持ちで無責任な言葉をかけてやえを安心させ続けてきたことを後悔した。



学校に行けばやりたくもない勉強をしなければならなくて、放課後は蘊蓄ばかり垂れ流す馬が合わない部員たちに紛れて星の勉強をしなくちゃいけなくて。それで、帰ったら繊細なやえに会う。


全部面倒で、全部投げ出してしまいたくなった。

つかれた、もういやだ、何も考えたくない。ひとりになりたい、ひとりにしてほしい。



いつかのやえが言っていた、『誰が嫌いとかダメとかじゃないのに、何もかも突然嫌になる時がある』感覚が、その時はじめてわかった。