やえはとても不安定だった。

病院で正式にそれが鬱病だと証明されたのは彼女が高校2年生の時だったけれど、出会った時にはすでいそうだったのではないかと思う。

時代は日々進化している。平成生まれの俺たちですら、「懐かしい」という言葉を多用するのが普通だから、どうにもできないことだった。




「誰が嫌いとかダメとかじゃないのに、何もかも突然嫌になる時がある」



やえがよく言っていた。

俺にはその感覚が分からなかったけれど、自分のことを話すとき、やえは必ずと言っていいほど涙を流すから、自分じゃもうどうにもできないことなんだろうなと思っていた。