(そういえば、岡原の家も母子家庭だったっけ)
どうして父親がいないのかは知らないけれど、彼の母親は看護師をしていて、確か四つ年上の姉がいたと思う。
そんな彼にとって、橋間先生は父親のような存在なのかもしれない。
「センセー、もういいじゃんその話は!」
「そうやな。今日はこんくらいにしといたろか。ほな麻木、また後でな」
「はい」と返事をして、真樹は美雪達と一緒にクラスメイト達の元へ向かったけれど。
「――ねえ美雪、〝また後で〟って? 近況報告とかした後に何かあんの?」
そういえば、同窓会で具体的に何をするのか、何も聞いていなかったのだと気づく。
「んーとね、確かお昼ゴハンにお寿司の出前取ってて、カラオケもあるとか聞いたけど。しかも、この体育館で」
「えっ、マジで!? カラオケ機器、ここに持ってきてんの!?」
「らしいよ。幹事の田渕くんが張り切って準備してたらしいから」
「へえ……、そうなんだ」
田渕くんらしいな。――真樹は思った。
生徒会長をしていた時も、体育大会や文化祭などの学校行事に力を入れていた彼だ。今日の同窓会の内容だって、きっと「どうしたらみんなが楽しんでくれるか」と一生懸命知恵を絞ったことだろう。
――真樹と美雪、そしてあと二人の友達がかつてのクラスメイト達と合流した頃。
『皆さん、こんにちは。今日は集まってくれてありがとう』
先ほどの放送と同じ声がマイク越しに聴こえてきて、大柄でガッシリした体格の青年がマイクを手にしてステージ上に現れた。
『僕は二〇一五年度、生徒会長の田渕剛史です。まあ、体型もこんなに変わっちゃったから、面影もほとんどないだろうけど』
田渕くんの挨拶の後半はほぼ自虐で、これには一同がドッと沸いた。
とはいえ、みんなそうだ。卒業アルバムに載っている五年前の顔と全く変わっていない子なんて、誰ひとりいない。
どうして父親がいないのかは知らないけれど、彼の母親は看護師をしていて、確か四つ年上の姉がいたと思う。
そんな彼にとって、橋間先生は父親のような存在なのかもしれない。
「センセー、もういいじゃんその話は!」
「そうやな。今日はこんくらいにしといたろか。ほな麻木、また後でな」
「はい」と返事をして、真樹は美雪達と一緒にクラスメイト達の元へ向かったけれど。
「――ねえ美雪、〝また後で〟って? 近況報告とかした後に何かあんの?」
そういえば、同窓会で具体的に何をするのか、何も聞いていなかったのだと気づく。
「んーとね、確かお昼ゴハンにお寿司の出前取ってて、カラオケもあるとか聞いたけど。しかも、この体育館で」
「えっ、マジで!? カラオケ機器、ここに持ってきてんの!?」
「らしいよ。幹事の田渕くんが張り切って準備してたらしいから」
「へえ……、そうなんだ」
田渕くんらしいな。――真樹は思った。
生徒会長をしていた時も、体育大会や文化祭などの学校行事に力を入れていた彼だ。今日の同窓会の内容だって、きっと「どうしたらみんなが楽しんでくれるか」と一生懸命知恵を絞ったことだろう。
――真樹と美雪、そしてあと二人の友達がかつてのクラスメイト達と合流した頃。
『皆さん、こんにちは。今日は集まってくれてありがとう』
先ほどの放送と同じ声がマイク越しに聴こえてきて、大柄でガッシリした体格の青年がマイクを手にしてステージ上に現れた。
『僕は二〇一五年度、生徒会長の田渕剛史です。まあ、体型もこんなに変わっちゃったから、面影もほとんどないだろうけど』
田渕くんの挨拶の後半はほぼ自虐で、これには一同がドッと沸いた。
とはいえ、みんなそうだ。卒業アルバムに載っている五年前の顔と全く変わっていない子なんて、誰ひとりいない。